生きる場所に根ざしたものづくり - 新潟の職人たち - 丸山あゆみ 1

MENTOSEN 職人 丸山あゆみ

先日、MENTOSENの制作を担ってくれている職人たちの新潟の仕事場に行ってきました。

一日目は、燕三条(三条市)の職人丸山あゆみの仕事場。

丸山は、MENTOSENのShikaku[しかく]のリングやKosa[こうさ]のピアスをつくっています。

高校を卒業すると、18歳で地元新潟の工房に弟子入り、就職。

腕を磨き、技能五輪ではゴールドメダリストを獲得しています。

そして、国家資格の一級技能士資格者。

MENTOSEN 職人 丸山あゆみ Crftsperson Ayumi Maruyama

ジュエリーはとても華やかなモノと思われがちですが、実際に制作となると、きちんとつくれるようになるまで、10年近くの歳月を要します。

その後、天井知らずの技術の高みを目指して修練を積んでいくことになります。

丸山制作のKosa[こうさ] Pakku と Kosa[こうさ]Kakko


すべてに速さを求められる今の時代に、10年近い時間を要する仕事を追求していくことは、

都会に住む若者たちにはなかなか難しい。

新潟、燕三条では、その昔から金属加工の仕事が盛んで、今も工業用の金型、スプーンなのどカトラリーの仕事が高く評価されています。

その、起源は弥彦山という山のふもとで銅が取れたためらしいです。

その後、銅を使ったやかんの制作やキセルをつくる仕事が盛んになり、戦後工業用金属加工が地場産業となり、今に至っています。

そんなことを考えると、丸山が、ジュエリー制作の道へ進んだのは、金属の種類や大きさは違えど、ごく自然なことかもしれません。

 丸山の仕事場の前には、五十嵐(いからし)川という雄大な川が流れています。

彼女は、毎日、この山々の景色を見ながら、制作をしています。

天職というのは、最初からその人にすごい才能があって、その道に入るというのは、実は稀なことで、

その土地に生まれたとか、親が何の仕事をしているとか、そんな不可抗力的にもたらされた偶然によって、見つかるものなのかもしれない。

民藝運動の父、柳宗悦が、「民藝」についての説明で、「他力性」という言葉を上げていて、

『個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているもの』

と書いています。

現代にあっても、新潟ではそれが息づいているように思えます。

都会にはない、ゆっくりとした時間と土地や地域の持つ力。

その土地で、ひたすらものづくりをする職人たちに敬服すると同時に、一緒にチームとして仕事ができることに幸福感を持たずにはいられません。

【丸山あゆみについてはこちら】

「つける人」不在解決の糸口-女性職人- 新潟の職人たち - 丸山あゆみ 2

MENTOSEN  米井亜紀子

 

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