コンテンポラリージュエリー 高田麻帆作品展を終えて
Maho Takada function stainless-sope Silver925 リング photo @satomiki
10月14~23まで、シンコーストゥディオのお店で開催された、「高田麻帆作品展」が無事終了しました。
期間中は、たくさんの方々に来ていただき、心から感謝いたします。
街のお店で、コンテンポラリージュエリーという、アートとしてのジュエリーを紹介できること、
そして、ギャラリーではなく、路面に接した街のお店だからこそ、普通の方々がふらっと立ち寄りやすかったのかもしれません。
コンテンポラリージュエリーは、1960年代にヨーロッパで誕生したアプライドアートの一部です。
アプライドアートって何?
「アプライドアート」、ちょっと難しいですが、
一言で言ってしまえば、実用的なモノにアートを応用する、アート。
絵画や彫刻などの純粋芸術(Fine Arts)に対して、美術を日常生活に応用したものと言われています。
工芸美術・家具、ジュエリー・装飾美術、広くは建築も含みます。
アートとデザインの境界線が曖昧で、もっと身近にアートが生活に溶け込むモノと、私は理解しています。
コンテンポラリージュエリーが誕生した1960年代は、学生運動、フランスの5月革命、アメリカのベトナム反戦運動。
ある一定の特権階級を否定し、ジュエリーの世界にも、ダイヤや金やプラチナの素材価値より、人の創造性や発想に重きを置くジュエリーをつくろう!
というのが、コンテンポラリージュエリーの始まりではないかと思っています。
MENTOSENの制作会社であり、そのフラッグショップであるSHINKO STUDIO は、ずっと何年もコンテンポラリージュエリーのアーティストの作品展を開催してきました。
今回開催した、高田麻帆は、MENTOSENのデザイナーもしている、まだ20代の若手です。
作品は、もちろん何十年もやっているアーティストには、かなわないかもしれません。
けれど、火を入れることで、シルバーに伸縮性を持たせたり。
通常、丸い線を使うところを、エッジのラインが美しく出る、四角い「角線」を使って、表情を出すなど、徐々に自分の世界をつくりつつあります。
若手に作品展示の機会を与える
現在、コンテンポラリージュエリーの若手の作品が、売ることを目的に展示されることは稀です。
でも、私は、実際に売ってみるって、とても大事な気がします。
確かに、美術館に収蔵されることを目的につくられるアートもあるでしょう。
けれど、何より、お客様が腹を痛めて作品を買ってくださる。
そういう社会とのつながる体験が、実感をもって作品作りに励むことができるきっかけにあるよう思います。
アートやデザインは人が自分と違うことを認める社会につながる
これは、まったく直接的な効果ではないかもしれないけれど、
アートやデザインが身近にある、日常の生活に溶け込んでいる社会というのは、いろんな人が生きやすく、開かれて入れ、寛容な気がします。
独裁国家や軍事国家などには、多様性を受け入れるデザインやアートの要素はとてもうすく感じます。
一方で、北欧などのモダンデザインが進んだ国は、多様性への理解があり、弱者にやさしい国のように思います。
それがすべてではないし、地域や国によってそのカタチは違うけれど、色々な価値観があっていい。
自分と人が違うことを寛容に認める社会。
やっぱり、そういう未来に向かって、私たちは何かしらしていきたいと思うのです。
それがMENTOSENというジュエリーをつくっている理由だと思います。
『MENTOSEN』はその輪郭
Maho Takada imperfection inside Silver925 ブローチ photo @satomiki
MENTOSENは、ジュエリーそのものだけではなく、1つの『輪郭』かな?と考えています。
MENTOSENというコレクションと共に、コンテンポラリージュエリーのアーティストの作品展を開催したり。
時には、おとなの遠足を開催し、地域の人たちとまじわったり。
そんなことも含めて、『MENTOSEN』なんです。
高田の作品展はまた来年開催の予定です。
若手の成長が楽しみです。
MENTOSEN プロデューサー・シンコーストゥディオ代表 米井