テクノロジーとデザインの距離感 山中俊研究室展
先日、東京大学駒場リサーチキャンパス(先端科学技術研究センター)で開催中の山中俊治研究室の最終展示「未来の原画」展を見てきました。
山中俊俊治研究室は、山中俊治さんは、先端技術エンジニアリングとデザインとの関わりをテーマに、「美しい義足」などデザイン性に優れたプロダクトを世に出してきました。
数十年前まで、エンジニアリング(工業的な機構)やデジタルは、『美しいデザイン』というものに、つながっていく思想が希薄でした。
それを、この15年間で、新しいプロダクトを生み出し、デザイン性のエンジニア、あるいはエンジニアリングやデジタルの知識豊富なデザイナー、またはアーティストを育ててきました。
山中俊治さんのプロダクトの基礎は、構想段階で描かれるこの原画。
精密で、そこにアイデアが確立し、つまっている。
工業製品なのに、とても美しいと、思ってしまうのです。
そして、構想段階できちんと練られたアイデアは、CAD(立体造形ソフト)に落としてもきちんと製図できる。
私たちが、日頃、デザインを考えてCADにデータを落としていくときの思考プロセスは、いったいどうだろうか。
原案構想段階で、ここまで立体を捉えられているだろうか?と言えば、なかなか難しい。
エンジニアリングという、まさに機械の機構を考えつくすことで、そこに美しさが生まれるのは、とても興味深いことです。
MENTOSENのテーマ
『デザインとものづくり-人とデジタルの関係を考える』
の一つの解決策は、『機構』をデザインの要素に加え、それが人間的な温かみをつくりだしていくことなのかもしれませんね。
どんなにテクノロジーを駆使しても、最終的にはそこに人の幸福感が生まれないモノはあまり意味がないでしょう。
あらためて、テクノロジーとデザインのいい距離感を感じました。